公開日:2022年3月22日
食の衛生管理と感染対策の両立!
アフターコロナで飲食店の活気が戻り始めても、感染対策徹底が欠かせない環境へと変貌しています。実際、飲食店を利用するユーザーの意識も大きく変化しており、「お店の衛生面への取組みがお店選びの基準になると思う」と回答したユーザーは「85.5%」(2021年11月ぐるなび調べ)と、衛生意識の高まりが窺えます。
一方で、2021年6月にはHACCPに沿った衛生管理が制度化されました。すなわち、飲食店では「衛生管理と感染対策の両立」が求められており、限られた人員の中で適切に、かつ効率よく対応することが重要となります。
ここでは、店舗の衛生管理(HACCP制度化)について、その内容と、どうしたら効率よく対応できるかを、ご紹介していきます。
HACCPの制度化とは?
飲食店における衛生管理は、HACCPの制度化で大きく変化しました。このHACCPの制度化とは、2018年6月に公布された食品衛生法等の一部を改正する法律に基づき、原則としてすべての食品等事業者に「HACCPに沿った衛生管理」の実施が義務付けられることとなったことを指します。
一般的な飲食店*1(小規模な営業者等)では、取り扱う食品の特性などに応じた取組み(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)が必要となります。具体的な取組みとしては、食品等事業者団体が作成した業種別の手引書*2を参考に①~⑥の内容を実施することとあります。
①自分の業種・業態では何が危害要因となるか理解する。 ②衛生管理計画と(必要に応じて)手順書を準備する。 ③その内容を従業員に周知する。 ④衛生管理の実施状況を記録する。 ⑤推奨された期間、記録を保存する。 ⑥記録等を定期的に振り返り、必要に応じて衛生管理計画や手順書を見直す。 |
*1 小規模な営業者等は、食品等の取扱いに従事する者の人数が50人未満である事業場などのこと。
(詳細は厚生労働省のHPでご確認ください)厚生労働省, 『HACCP(ハサップ)』 (mhlw.go.jp)』[URL]https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html)
*2 手引書リンク 厚生労働省, 『食品等事業者団体が作成した業種別手引書』 [URL]https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00001.html
制度化で具体的にやることは?
一般的な飲食店*1(小規模な営業者等)が実際にHACCPの制度化で具体的に対応することを順番に並べると次のようになります。
①衛生管理の土台となる「一般的衛生管理」と「HACCPに沿った衛生管理」の計画を、危害要因を踏まえて作成する。
②従業員に計画を周知の上、計画に沿って日々実施をする。
③実施した記録を残し、決められた期間保管をする。
④定期的に振り返り改善事項は計画に反映する。
一般的衛生管理とは、
14項目からなり、日頃から実施している衛生管理の土台のことです。 | |
1. 食品衛生責任者等の選任 | 8. 検食の実施 |
2. 施設の衛生管理 | 9. 情報の提供 |
3. 設備等の衛生管理 | 10. 回収・廃棄 |
4. 使用水等の衛生管理 | 11. 運搬 |
5. ねずみ及び昆虫対策 | 12. 販売 |
6. 廃棄物及び排水の取扱い | 13. 教育訓練 |
7. 食品又添加物を取り扱う者の衛生管理 | 14. その他 |
「HACCPに沿った衛生管理」とは、
調理品目ごとに、食品による健康被害を防ぐための重要な工程を考え、どのように管理するか定めるという内容です。具体的には、調理する食品をグループ分けし、管理方法を設定(計画)、計画に沿って実施、記録することです。 例えば、ハンバーグの様な加熱する食材は、中心までしっかり加熱されないと食中毒を起こす危険があります。 |
制度化の対応を効率よく
ここまで概要をご説明しましたが、感染対策との両立が求められる中、HACCP制度化に適切に対応していくのは大変なことだと思います。
現状では、HACCP制度化に対応する衛生管理については、業種別の手引書を基にお店の現状を踏まえて、紙ベースに落とし込んで運用している飲食店が多いのではないでしょうか。しかし、紙ベースの運用では、日々の記録をチェックする用紙の準備、振り返る時のチェックなどの作業が大変なばかりか、記録用紙自体が膨れ上がって保管場所の確保にも苦労しかねません。
そのような状況を解決する手段として、HACCP制度化に対応した衛生管理システムの導入をオススメします。近年は、衛生管理もペーパーレス化が進んでおり、店舗の実情や要望に見合う様々なシステムが発売されております。紙ベースの運用を簡単に見直すことができますので、衛生管理の効率化を図るためにご検討されては如何でしょうか。